リウマチ情報|福岡の整形外科

福岡の整形外科(リウマチ科)で医師をしています。関節リウマチは、正確な早期判断、適切な早期治療かその後の経過を大きく左右する病気です。 患名さんも積極的に情報を集め、病気をよく知り、治療に臨んでいただきたいと思います。

2018年01月

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関節リウマチには前駆症状があります

関節の腫れや痛みがあり、診断基準中7項目に挙げられている症状が4項目以上あると関節リウマチと診

断されますが、実際はそれより加前に慢性的な体の症状があります。それか次の4つです。

 ・疲労感

 ・微熱

 ・食欲不振

 ・体重減少


これらの症状は過労やストレスなどでも現れるので見過ごされがちですが、一過性ではなく、しばらく続くようであれば関節リウマチの発症につながる前駆症状である可能性かあります。

たいしたことはないからとほうっておかず、健康診断の血液検査などを受ける、あるいはかかりつけのホームドクターに相談してみることをお勧めします。

リウマチの初期にはこんな症状か現れます

リウマチの初期の段階では、急激に関節の痛みが始まることは少なくなんとなくだるい、熱っぽい、朝起きると関節にこわばりを感じるといった、はっきりしない全身性の症状となって現れてきます。

では、関節に現れるリウマチの症状と、それ以外の部分にあらわれるリウマチの初期症状について、さらにくわしくみてみましょう’。

関節の症状

関節リウマチにみられる特徴的な関節の症状は次のとおりです。
 
・朝、関節がこわばって動かしにくい。起き上がれない

・関節の痛みと腫れが「左右対称におこる」

・押すと痛む{圧痛}

・手指の小さな関節に症状が現れる(とくに初期)


関節以外の症状

関節だけでなく、全身にも症状か及びます。

前述したリウマチの初期症状にプラスして微熱、寝汗をかく、血色が悪くなるなどの症状も現れてきます。

いずれもかぜに似たような症状です。

こうした、最初の兆候を見逃さずに早期発見し、効果的な治療を行うためにも、定期的な健康診断や人間ドックを受けたり、おかしいなと感じたら、医師の診察を受けることが大切です。

関節リウマチの関節症状はどのようなもの?

関節の腫れと疼痛が全身におこります。

とくに手関節、手指の関節(MCPとPIP)でよくおこります。左右対称におこるのも特徴のひとつです。

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リウマチの診断を確定するためにいくつかのリウマチの検査が行われます。

診断か確定し治療が始まってからも、症状が安定しているか、関節の破壊は進んでいるか、合併症は出ているか、薬の副作用はどうかといったことを調べる検査が定期的に行われます。

おもに行われるのは、血液検査、X線検査、尿検査です。

血液検査

血液には関節リウマチの診断だけでなく、その後の治療効果や関節の破壊の具合いをチェックするための有用な情報がたくさんあります。

とくに注意してみるのが、リウマトイド因子、赤沈(赤血球沈降速度)の値、CRP(C反応性たんぱく)です。

赤沈検査とCRP倹査については後述しますか、リウマトイド因子の検査は診断基準の7にあるように、関節リウマチの診断には重要な検査のひとつとなっています。

リウマトイド因子とは、免疫で重要な働きをするIgG(免疫グロブリンG)に対する自己抗体のひとつで、関節リウマチの患者さんの血液中に多くみられるものです。

したがって、検査では血液中のリウマトイド因子を測定し、陽性であれば関節リウマチの疑いか強くなります。

ただし、関節リウマチの人の陽性半は70~80%で、残りの20~30%は陰性を示します。

そのためリウマトイド因子が陰性だったからといって関節リウマチではないということにはなりません。

そのほか、抗CRP抗体も重要な検査のひとっです。

そのほかにも白血球や赤血球の値、肝臓の機能をみる酵素AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、腎臓の機能をみる血清クレアチニンの値を調べることなどが、関節リウマチの血液倹査では必要になります。

X線検査

X線検査は、関節リウマチの場合、関節の骨の状態を調べるにたいへん重要な検査です。

また抗リウマチ薬や生物学的製剤を使っているときは、肺のX線写真を撮って、結核などの感染症かおこっていないか、間質性肺炎になっていないか、定期的にチェックをしていきます。

そのほかの検査

血液検査やX線検査のほかに、関節リウマチでは尿検査を行うことかあります。

尿検査は抗リウマチ薬の副作用のチェックや、合併症のひとつであるアミロイドーシスがおこっていないかどうかを調べるために行います。

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関節リウマチかどうかの診断を確定する最初のステップか、診断基準になります。

これは、1987年に改吋されたアメリカリウマチ学会の診断基準に基づいています。

チェック項目は全部で7つあり、そのうちの4項目にあてはまると関節リウマチと診断されます。

7つの項目中2,3,4にある「腫脹」とは腫れのことで、6の「皮下結節」とは、リウマチ結節ともいって、ひじやひざ、指などの骨が出ている部分の皮膚の下にできるしこりです。

大きさは1~3cmぐらいで、押しても痛くありません。

5の「手におけるX線変化」とは、手のX線写真を撮ったときに関節の状態がどうなっているかを調べるものです。

手首や手指のつけ很の関節(MCP関節)、第2関節(PIP関節)などはもっともリウマチの症状がおこりやすく、また炎症があるかどうかがわかりやすい部分なので、そこを指標とします。

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関節リウマチの診断基準

1.朝のこわばり、少なくとも1時間(6週間以上)ある

2.3うないしそれ以上の関節腫脹が(6週間以上)ある

3.手関節、MCP関節(中手指刀間関節)またはPIP関節(近位指節間関節)の瞳脹が(6週間以上)ある

4.対称性の関節腫脹が(6週間以上)ある

5.手におけるX線変化

6.皮下結節(リウマチ結節)がある

7.リウマトイド因子が認められる

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関節か痛い、腫れている………そう思ったらなるべく早く専門医を受診し、関節リウマチかとうかを診断してもらうこと、そして、できるだけ早期に適切な治療を開始することか大切です。

なぜなら、関節リウマチは、膠原病のなかでもっとも研究が進んでいる病気のひとつで、新しい治療薬も次々と開発されており、とくに最近では、早期から抗リウマチ薬を使った治療が関節破壊を防ぎ、寛解に結びつきやすいことがわかったためです。

これまで以上に、「早期発見・早期治療」の大切さが指摘されるようになったことには、次のような背景もかかわっています。

アメリカのガイドラインでは明確なリウマチ治療開始時期か定められています

関節リウマチ治療の先進国、アメリカのリウマチ学会では、2002年に新ガイドライン(治療方針)を打ち出しています。

そのなかには「関節リウマチの診断を早くすること」「抗リウマチ薬を用いた治療を早くから開始すること」か盛り込まれています。

具体的に「診断がついてから3ヵ月以内」という明確な期間も指定されています。

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